「うちの送りって、法律的に大丈夫なやつ?」。ドライバーを増やそうかというタイミングで、一度は誰かが口にする疑問です。結論から言うと、運用次第で大丈夫にも危険にもなります。

許可・登録を受けていない自家用車で有償で旅客を運送する行為は、道路運送法上の「白タク」に当たる可能性があります。同じ「キャストを送る」でも、誰が、どういうお金の流れで送っているかによって評価が変わり、該当するかどうかは送迎費の徴収方法や運送の実態を個別に確認しなければ判断できません。

「福利厚生だから」「給与から送迎費を引いているだけ」といった名称だけで安全と判断するのは危険です。運用の型ごとにどこが危ういのかを整理し、ドライバーを雇う場合の労務の注意点まで、順に見ていきます。個別の判断に迷ったら、運輸支局や行政書士への確認が欠かせません。

タクとは何か

白タクは、許可を持たない自家用車で有償の送迎を営むことを指す通称です。人を乗せて運ぶことを仕事にするなら、道路運送法4条の許可がいります。タクシー会社や運転代行の車が緑や黒のナンバーなのはそのためで、許可のない自家用車は白ナンバーのまま。だから「白タク」と呼ばれます。

ここで効いてくるのは「有償かどうか」です。近所の店が、閉店後にキャストを1回500円で送っている個人ドライバーを使っていたとします。この人は店の従業員ではなく、送るたびに現金を受け取っている。これは有償運送に近く、許可なくやれば道路運送法上の問題になり得ます。逆に、お金の流れがまったく発生しない送りは、同じ「車で送る」でも扱いが変わってきます。

いちばん安全なのは、店が雇用するドライバーが、店のサービスとして無償で送る形です。旅館やホテルが宿泊客を駅まで無料バスで送るのと同じ整理で、送迎そのものに対価が発生していなければ、旅客運送事業には当たりにくい。キャストの送りも、店で働く従業員を送っているという枠で捉えれば、この形に収まります。

実務でいえば、送り代という名目のお金を客からもキャストからも取らず、送迎はあくまで店が用意している便宜——という運用です。ドライバーの給料は店が払い、ガソリン代や車の維持費も店が負担する。少なくとも、送迎の対価を受け取っていると評価される要素を増やさない運用になります。ただし、個別の運行が道路運送法上どう評価されるかは、契約や費用負担の実態によって異なります。

よくある勘違いに、「ドライバーに日当を払っているのだから有償運送では」というものがあります。これは逆です。店が雇ったドライバーに給料を払うのは、雇用として当たり前のこと。論点になるのは、送られる側——客やキャスト——から送りの対価を受け取っているかどうかです。ドライバーへ払うお金と、乗る人から取るお金は、まったく別の話として切り分けて考えます。

線を越えやすい運用

危ないのは、送りにお金の色がつく瞬間です。典型は三つあります。ひとつ目は、送り代を実費以上に徴収するケース。ガソリンの実費を割り勘するくらいならまだしも、「ワンメーター相当で500円」のように距離や区間で値付けを始めると、運送の対価に見えてきます。

ふたつ目は、送迎の有無でサービス料金に差をつけるケース。送りを付けると席料が上がる、送りありプランと送りなしプランで金額が違う。この差額が、実質的に運送の対価と評価される可能性があります。三つ目は、外部の個人に1回いくらで送りを頼むケース。頼まれた個人のほうが白タク化します。

判断されるのは、名目ではありません。「送り代」と呼ぼうが「協力費」と呼ぼうが、運送の対価としての合意が事実としてあるかどうかで見られます。しかも、特定の身内を一度きり送るのと、不特定のキャストを毎晩反復して有償で送るのとでは意味が違う。反復性と不特定性が揃うほど、事業としての旅客運送に近づきます。

三つのうち一番グレーになりやすいのが、実費の割り勘との境目です。同乗した数人でその日のガソリン代を頭割りするくらいなら実費の範囲に見えますが、距離や区間で一律の金額を決めて毎晩集め、余った分が店やドライバーの手元に残るなら、実費精算とは呼びにくくなる。「いくらまでなら大丈夫」という金額の線があるわけではなく、対価として受け取っている実態があるかどうかで見られる、という理解のほうが安全です。

ドライバーを雇うときの注意

送りを店の雇用ドライバーで回すと決めた場合、今度は労務の論点が出てきます。雇用である以上、労働時間の管理が発生する。深夜帯の割増賃金はもちろん、見落とされがちなのが待機時間の扱いです。閉店を待って車の中で上がりを待っている時間は、店の指示のもとで拘束されているなら、原則として労働時間になり得ます。走っていない時間もコストだという前提で人を雇うことになります。

たとえば1時から3時まで送りに入るドライバーが、実際にハンドルを握って走るのは正味40分で、残りは車内でスマホを見て次の上がりを待っているとします。この待機を「走った分だけ」で給料計算していると、後で本人や労基署から未払いを指摘されたとき、積み上がった差額がまとめて効いてくる。走っていない時間の賃金をどう払うかは、雇う前に決めておく話です。

事故のときの備えも先に確認しておきます。従業員が業務として運転している最中の事故は、店が使用者責任を問われる場面があります。任意保険が業務使用の契約になっているか、記名被保険者や使用目的の設定は実態と合っているか。いちばん曖昧になりやすいのが、ドライバーのマイカーを借り上げて送りに使うパターンです。私用の保険のまま毎晩業務で走らせていた、というのが後から効いてくる。事故が起きてから保険会社に「業務では使っていない前提の契約でした」と言われるのが最悪の展開です。

もうひとつ。ガソリン代や送り代をキャストの給与から差し引く運用を考えているなら、賃金は全額払いが原則という制約と交差します。この論点は遅刻や欠勤への罰金と同じ根を持つので、罰金制度と労基法の減給ルールを整理した記事もあわせて確認してください。

送迎を記録に残す

ここまでの論点は、突き詰めると「誰が、誰を、いつ送ったか」を後から説明できるかに行き着きます。記録がないと、ドライバーの勤務時間も、送迎中に起きたトラブルの経緯も、口頭の記憶頼みになる。とくに待機時間を労働時間として扱うなら、何時から何時まで待機し、どの便を担当したかの記録がそのまま労務の裏付けになります。

送迎表そのものの作り方は送り表を作ってドライバーへ共有する手順にまとめています。毎晩の便の組み合わせや変更・完了を口頭やホワイトボードで回し続けると、記録は誰かの記憶の中にしか残りません。その毎晩の送りを、希望の回収から割当、乗車記録まで一つの画面に残せるように、私たちは送迎管理システムを作っています。適法な運用の形そのものは行政書士や運輸支局と決めるものですが、決めた運用を記録として残しておくところは、引き受けられます。

よくある質問

送迎中に事故が起きたら店の責任になりますか?

従業員が業務として運転中に起こした事故は、店が使用者責任を問われる場合がある。任意保険が業務使用を前提にした契約になっているかを事前に確認しておくことが重要で、契約内容は保険会社や専門家に確認してほしい。

キャスト同士が自分の車で送り合うのは白タクになりますか?

お金のやり取りが発生しなければ、有償運送には当たりにくい。ただし送迎費名目で店やキャストからお金を集めている場合は評価が変わるため、実態を運輸支局や行政書士に確認するのが確実だ。

送迎ドライバーの待機時間は残業代の対象になりますか?

店の指示で拘束されている待機時間は、原則として労働時間に含まれうる。法定時間を超えれば割増賃金の対象になる可能性があるため、待機の実態を記録したうえで社会保険労務士に確認するのが望ましい。

この記事の課題を、システムで解決するなら

その送りを、後から説明できる形に残す

お店専用の送迎管理システムなら、送り希望の回収から方面別の割当、待機と乗車の記録までを一つの画面にまとめて残せます。運輸支局や行政書士に相談するとき、誰をいつ送ったかをそのまま見せられる記録が残ります。相談は無料で、導入前提でなくても大丈夫です。

画面も項目も、お店の運用に合わせて一から設計します。何をシステムにするか決まっていない段階のご相談も無料で承ります。

※ 画像は過去の開発例で、実際に開発する画面とは異なります。

実際に開発した画面の一例

画面は開発例です。項目・機能・デザインは、お店の運用に合わせて一から設計します。

使うとどう変わる?

送り希望から便・乗車順・完了までを共有し、待ち時間と伝達漏れを減らします。

  1. 1キャストの送り希望を回収
  2. 2方面別に便と乗車順を割当
  3. 3ドライバーが乗車・完了を記録
今の運用を無料で相談する この業務の開発内容を見る