締め日に、チェキの控えを机に広げて枚数を数え直している。ドリンクの伝票をめくって、これは誰が付いた卓だったかを思い出しながら仕分けている。コンカフェの給与計算でいちばん時間を食っているのは、たいてい計算そのものではなく、この「後から数える」作業です。
コンカフェの給与は、固定時給という単純なベースの上に、チェキ、キャストドリンク、客が自分で頼んだドリンク、フード、物販グッズ、イベント参加分といった性質の違うバックが重なります。ひとつひとつは小さな金額でも、種類が多く、発生する単位もばらばらです。だから「時給いくら」の一行で始まった給与表が、一年で誰も全体を説明できない表に育ちます。
解き方は決まっています。バックを対象・単価の決め方・誰の売上かで分けて書き、キャストごとの例外を適用日つきで持ち、発生源を売上と同時に記録する。この3つがそろうと、締めは「数える作業」から「集計を確認する作業」に変わります。順に見ていきましょう。
固定時給なのに、締めがいちばん重い
キャバクラの給与も部品は多いのですが、売上項目は指名・場内・同伴・ドリンク・ボトルといった接客の枠内に収まっています。時給とバックと控除という3つの部品に仕分ければ、たいてい形になります。この整理はキャストの給与体系の作り方で扱っているので、まだ仕分けをしていない店はそちらを先に読んでください。
コンカフェが違うのは、売り物の種類そのものが多いことです。チェキは撮影という役務、ドリンクは飲食、グッズは物販、イベントはチケット。会計の性質がばらばらなものが、同じ一晩の売上に混ざります。そのそれぞれにバックを付けると、給与表の行数が一気に増えます。
もうひとつ厄介なのが、発生する単位の違いです。ドリンクやフードは売上金額に率をかける形にしやすい一方、チェキやグッズは「何枚」「何点」という点数で数えるほうが自然です。金額ベースの計算と点数ベースの計算が同じ給与表に同居すると、締めの手順が二本立てになります。売上データからは金額しか出てこないのに、チェキだけは別の台帳を数えないと支給額が確定しない。これが、締め日に机が紙で埋まる正体です。
そして、コンカフェは一人あたりの出勤時間が短く、人数が多い店が珍しくありません。項目の多い表を人数分繰り返すことになるので、作業量は項目数と人数の掛け算で効いてきます。
バックは3つの軸で書き分ける
バックの項目を増やす前に、一項目ずつ次の3点を書き切ります。ここが埋まっていない項目は、締めのたびに誰かの判断が入り、判断した人によって支給額が変わります。
- 単価が固定か、率か。1枚あたり・1点あたりで決めるのか、売価に対する割合で決めるのか。
- 対象が金額か、点数か。売上金額に率をかけるのか、枚数・杯数・点数に単価をかけるのか。
- 誰の売上か。本人が直接生んだ分か、本人が付いた卓の分か、店全体の売上を人数で割る分か。
3つ目がいちばん揉めます。たとえばドリンクひとつ取っても、キャストが客からもらって飲むキャストドリンクと、客が自分用に頼んだドリンクは別物です。前者は本人に付けるのが自然でも、後者は「誰の売上か」を店が決めないと確定しません。付いていたキャスト全員に分けるのか、注文を取った一人に付けるのか、店の売上として誰にも付けないのか。決めていない店では、締めのたびにキャストから個別に申告が来ます。
物販グッズも同じです。特定のキャストを指定して買われた缶バッジやチェキホルダーは本人の売上として扱いやすい一方、店の共通グッズやコンセプトグッズは誰の売上でもありません。ここを分けずに「物販バック」という一行で書くと、共通グッズが売れた日に必ず質問が来ます。項目名ではなく、対象を文章で書くのがコツです。「本人を指定して購入されたグッズの点数に対して、1点あたりの単価で支給する」。ここまで書けば、判断の余地がなくなります。
イベントも先に決めます。周年やコンセプト替えのイベントでは、通常営業と違う条件を出すことが多いはずです。特別条件は口頭で走り出しがちですが、対象者・対象期間・対象になる売上・単価の4点を、始まる前に書いておきます。イベントが終わってから条件を思い出す作業は、店側にとってもキャストにとっても後味が悪いものです。
キャストごとの条件は「適用日」で持つ
コンカフェの給与表がもうひとつ膨らむ理由が、キャストごとに条件が違うことです。入店時期による差、在籍期間やランクによる差、イベント限定の上乗せ、短期で入っている子への別条件。人数が多い店では、条件のパターンが人数の半分ほどに増えていることもあります。
ここで致命的になるのが、条件表を上書きで運用している状態です。ランクが上がったキャストの行を書き換えると、その瞬間に「先月はどの条件だったか」が失われます。過去分を再計算できない台帳になるということです。計上漏れが見つかったとき、返金が発生したとき、本人から先月分の内訳を聞かれたとき。いずれも過去の条件を復元できないと答えられません。
持ち方は単純で、条件に適用日を付けます。誰の、どの項目が、いつから、いくらなのか。変更するときは行を書き換えるのではなく、新しい適用日の行を足す。こうしておくと、締めのときに「その日に有効だった条件」で計算でき、過去の締めを同じ手順でやり直せます。
体入時給から本入店後の条件への切り替え日も、同じ扱いにします。いつの出勤分から新条件になるのかを、率ではなく日付で決めておく。ここが曖昧なまま「来月から上げるね」と口頭で伝えると、本人は当月分から上がると受け取り、店は翌月の出勤分のつもりでいる、という食い違いが起きます。金額の議論より、適用日の議論のほうが事故ります。
雇用か業務委託かで、確認すべきことが変わる
給与ルールを設計する前に、自店のキャストがどちらの立場なのかを確認しておく必要があります。ここが変わると、最低賃金、割増賃金、源泉徴収、控除の可否まで、全部の前提が変わるからです。
重要なのは、契約書のタイトルで決まらないことです。業務委託契約書を交わしていても、雇用か業務委託かは指揮監督の有無、時間や場所の拘束、仕事を断る自由があるか、報酬が労働時間に対して払われているかといった実態から総合的に判断されます。固定時給を出し、出勤時間を指定し、コンセプトに沿った接客の仕方まで指示している運用は、実態として雇用に近づきます。判断の物差しはキャストは雇用か業務委託かで整理しています。
実務でよくあるのが、店としては業務委託のつもりで設計した給与ルールを、実態が雇用に寄っている店でそのまま使っているケースです。この状態では、最低賃金や割増賃金の確認をしないまま締めが回ります。まず立場を確認し、そのうえでルールを書くという順番を守ってください。判断に迷う要素があるなら、社会保険労務士へ相談したうえで設計するのが結局は早道です。
雇用なら、バック込みの時間あたりで見る
雇用の場合、支払額が最低賃金を下回っていないかの確認が必要です。ここでコンカフェ特有の落とし穴になるのが、「バックがあるから足りているはず」という感覚です。バックは出勤日ごとに大きく振れます。チェキが出なかった日、客足が鈍かった日は、固定時給だけの日になります。月の合計では十分でも、賃金の計算期間の単位で見ると足りていない、という状態は起こりえます。
最低賃金の額は都道府県ごとに異なり、改定もあります。自店の所在地の額を必ず確認してください。また、支払っているものが何でも比較対象に入るわけではなく、最低賃金と比べるときに算入できる賃金の範囲は決まっています。手当の種類によっては除外されるため、どの項目を含めて計算するかは事前に確認が必要です。ここは自己流で判断せず、専門家に確認する価値のあるところです。
あわせて注意したいのが、控除で実質的に下回るパターンです。衣装代、ヘアメイク代、備品代、遅刻分の減額。こうした「引かれもの」を積み上げると、支給額の時間あたりが想定より下がります。特に一律の罰金や、損害の穴埋めを賃金から差し引く運用にはリスクがあります。賃金の全額払い原則、賠償予定の禁止、減給の制裁の上限といった制約があるためです。控除を設計する前に罰金制度と労基法の減給ルールを確認してください。
年齢による制約も、給与設計に効いてきます。酒類を提供する店では、18歳未満を22時以降に客に接する業務へ就かせることはできません。つまり18歳未満のキャストは出勤枠そのものが限られ、深夜帯に発生するバックの機会も構造的に少なくなります。年齢で条件を分けた設計にしておかないと、シフトの制約と給与ルールがかみ合いません。この点はコンカフェで18歳未満は何時まで働けるかにまとめています。
締めを軽くするのは、売った瞬間の記録
ここまでルールの話をしてきましたが、締めの重さを決めているのは、実はルールより記録の取り方です。同じ給与表でも、チェキを撮った瞬間に「誰が・何枚」を残している店と、閉店後にチェキの控えを数えている店では、締めにかかる時間がまるで違います。
基準はひとつ。バックの発生源を、売上を記録するのと同じタイミングで残すことです。チェキなら枚数と撮ったキャスト。ドリンクなら杯数と、キャストドリンクか客の注文かの区別、そして誰に付ける売上か。グッズなら点数と、指名購入かどうか。会計時にここまで残っていれば、締めは集計するだけになります。残っていなければ、後から思い出すしかありません。
記録の置き場が分かれていることも、締めを重くします。レジには金額、チェキ枚数は手書きの台帳、イベントの特別条件は店長のメモ、当日の欠勤や早上がりはLINEのやり取り。締めのたびに4か所を突き合わせる作業が発生します。突き合わせの手間は人数と項目数に比例して増えるので、キャストが増えるほど締めが延びるという構造になります。
副次的な効果もあります。項目が多いコンカフェの給与は、本人も自分がいくらになるか読みにくい。支給額だけを渡すより、何が何点でそれぞれいくらだったかを示せるほうが、質問も不信も減ります。
この記録と集計を人力で回し続けると、締め日の作業だけでなく、店長が代わるたびの引き継ぎにも同じ手順を丸ごと渡すことになります。私たちは、こうした店ごとに違うバックのルールを登録して、出勤と売上の記録から支給額を集計する給与計算システムをお店ごとに作っています。コンカフェやガールズバーの運営全体で何をシステムにできるかは、コンカフェの店舗運営のページにまとめています。
よくある質問
コンカフェの給料はどういう仕組みになっていますか?
多くの店は固定時給をベースに、チェキ、ドリンク、フード、物販グッズ、イベントなどのバックを積み上げる形を取っています。バックは売上金額に率をかけるものと、チェキの枚数やグッズの点数といった点数に単価をかけるものが混在するのが特徴で、この2種類が同じ給与表に同居するため計算が複雑になります。
チェキバックの単価はどうやって決めればいいですか?
他店の数字を借りるのではなく、自店のチェキ1枚あたりの原価と、そこから店に残したい粗利から逆算して決めます。あわせて、対象が枚数か金額か、誰が撮った分を本人に付けるかまで文章で書き切っておくと、締めのたびに判断が入る余地がなくなります。
キャストドリンクと、お客様が自分で頼んだドリンクのバックは分けるべきですか?
分けて設計するのが確実です。キャストがもらって飲む分は本人に付けやすい一方、客が自分用に頼んだ分は「誰の売上として扱うか」を店が決めないと確定しません。付いていたキャスト全員に分けるのか、注文を取った一人に付けるのか、店の売上にするのかを先に決めておかないと、締めのたびに個別の申告が発生します。
コンカフェのキャストは業務委託にできますか?
契約書の名称では決まりません。指揮監督の有無、時間や場所の拘束、仕事を断る自由、報酬が労働時間に対して払われているかといった実態から総合的に判断されます。固定時給を出して出勤時間を指定し、接客の仕方まで指示している運用は雇用に近づきます。判断に迷う場合は社会保険労務士へ確認してください。
バックを含めれば最低賃金を上回っていれば問題ないですか?
雇用の場合、最低賃金との比較は賃金の計算期間の単位で見る必要があり、算入できる賃金の範囲も決まっています。バックは日によって大きく振れるため、月の合計で足りていても期間の単位では足りていないことが起こりえます。最低賃金の額は都道府県ごとに異なるため、自店の所在地の額を確認したうえで、算入できる項目の範囲を専門家に確認してください。
締めのたびにチェキの枚数を数え直しています。どうすれば減らせますか?
後から数えるのをやめて、撮った瞬間に「誰が・何枚」を売上と同時に記録する形に変えるのが根本的な対策です。記録の置き場がレジ・手書き台帳・LINEに分散していると突き合わせ作業が必ず発生するため、発生源の記録を一か所に集めることが締めの時間短縮につながります。
この記事の課題を、システムで解決するなら
チェキの控えを数え直す締めを終わらせる
お店専用の給与計算システムなら、チェキ・ドリンク・物販といったバックの対象と単価を適用日つきで登録し、出勤と売上の記録から支給額を集計できます。締め日に台帳を広げて枚数を数え直す作業も、キャストごとの内訳を手で作る作業もなくなります。相談は無料で、導入前提でなくても大丈夫です。
画面も項目も、お店の運用に合わせて一から設計します。何をシステムにするか決まっていない段階のご相談も無料で承ります。
※ 画像は過去の開発例で、実際に開発する画面とは異なります。
画面は開発例です。項目・機能・デザインは、お店の運用に合わせて一から設計します。
時給・バック・控除を同じルールで計算し、本人へ根拠を示せる明細を作ります。
- 1店舗の給与ルールを登録
- 2勤怠・売上から支給額を計算
- 3明細を確認して締めを確定

