「うちのキャストは全員業務委託だから名簿はいらない」。この思い込みだけで、立入検査の指摘を受ける店は少なくありません。名簿の欄はきれいに埋まっているのに、生年月日を裏付ける書類がない。免許証のコピーは挟んであるが、本籍地までは確認できない。こうした穴が、実際に指摘されます。

風俗営業の店は、営業所ごとに従業者名簿を備え付け、氏名・住所・生年月日・採用日・退職日・担当業務などを記載し、キャストなど接客に立つスタッフは生年月日や国籍を確認した書類もあわせて保管する義務があります(風営法36条)。検査で見られているのは名簿の書式そのものより、その裏付けとなる確認書類の有無です。

名簿の対象範囲、記載すべき項目、確認書類の落とし穴、保存期間と退職者の扱いまで、実際に指摘されやすい順に確認していきましょう。

名簿は全員分いる

風営法36条は、営業所ごとに従業者名簿を備え付けることを営業者に求めています(細目は施行規則で定められています)。ここでつまずきやすいのが「全員分」の範囲です。名簿に載せるのはキャストだけ、と思い込んでいる店がありますが、対象は営業所で働く人全員。フロアのボーイ、キッチン、送りのドライバーも含みます。雇用契約か業務委託かも問いません。「うちのキャストは全員業務委託だから名簿はいらない」という理解は誤りです。

送迎を外注のドライバーに頼んでいる、キッチンだけ知人に手伝ってもらっている、といったケースも判断に迷いやすいところです。その営業所で業務に従事している実態があるなら、契約の呼び方に関わらず対象になると考えておくのが安全です。「あの人は外注だから」で名簿から外していると、いざというときに説明が難しくなります。

備え付けは営業所ごと、という点も外せません。系列で3店舗あるなら名簿も3冊。本店の事務所に全店分をまとめて置き、各店には何もない、という運用は備え付け義務を満たしません。検査は店単位で入るので、その店にその店の名簿があることが問われます。まず、名簿とシフト表、給与の支払い記録を突き合わせて、人数が食い違っていないかを確認してみてください。三つの数が合わないなら、どこかに載せ漏れか、逆に辞めた人が残っているかのどちらかです。

記載する項目

施行規則が定める主な記載事項は次のとおりです。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 採用年月日・退職年月日
  • 従事する業務の内容

「従事する業務の内容」は、意外と空欄になりがちな項目です。全員まとめて「接客」と書いてしまう店がありますが、フロアのボーイ、キッチン、送迎のドライバーでは実際の業務が違います。誰が何をしている人なのかが名簿で分かる状態にしておくと、後から見返したときにも、検査で聞かれたときにも答えやすくなります。

接客に立つスタッフについては、名簿の項目を埋めるだけでは足りません。生年月日や国籍を確認した事実そのものを残す必要があるため、確認に使った書類の種類、確認した年月日、確認した担当者を、名簿とセットで記録しておきます。名簿の欄は埋まっているのに「いつ、何で確認したのか」が誰にも答えられない、という状態が、いちばん指摘を受けやすい形です。

なお、名簿そのものに全国共通の決まった書式があるわけではありません。上の項目が漏れなく記載され、確認書類とあわせて営業所ですぐ提示できる状態であれば、紙のバインダーでもExcelでも構いません。書式選びより、項目の抜けと確認書類の紐付けに注意を向けたほうが、検査での実害を減らせます。従業員名簿システムのように入力必須の項目をあらかじめ決めておくと、埋め忘れ自体が起きにくくなります。

かつては本籍の記載も求められていましたが、改正で名簿本体への本籍記載は不要になりました。ここに古いテンプレートの落とし穴があります。何年も前にどこかで拾ったExcelを使い回している店だと、いまだに「本籍」欄が残っている。埋める必要のない欄を几帳面に埋め、しかも後述する確認書類の方は用意していない、という逆転が起きます。書式は最新の要件に合わせて見直しておくのが無難です。

名簿より重要な確認書類

生年月日や住所は、本人の自己申告をそのまま書き写せばいい、というものではありません。公的書類で確認し、その書類を名簿とセットで保管しておく必要があります。ここで求められるのが、本籍地の都道府県名(外国籍の場合は国籍)が記載された住民票の写しなどです。

実務で多い失敗が、運転免許証のコピーだけで済ませているケース。免許証の券面には本籍が記載されていません。コピーを1枚挟んで確認済みのつもりでいると、本籍地確認の要件を満たしていない、と指摘されることがあります。

外国籍のスタッフは、もう一段深くなります。在留カードで在留資格、在留期限、資格外活動許可の有無を確認します。留学や家族滞在の在留資格では、資格外活動許可がなければそもそも働けません。カードの表面と裏面、両方を確認して記録に残しておきます。

そして在留期限は必ず来ます。採用時に一度確認して終わり、ではなく、期限が来る前に再確認する運用が要ります。残り30日を切ってから気づく、では遅い。何人も在籍していると、誰の期限がいつ来るのかを頭で管理するのは無理があります。期限のある人だけを別に一覧にしておき、月初にまとめて見る。それだけで見落としはかなり減ります。

保存期間と退職者の扱い

名簿は、その人が辞めたら捨ててよいわけではありません。退職日を起算にして3年間の保存義務があります。

起きがちなのが、名簿を「今いる人の一覧」として運用してしまう失敗です。退店処理のときに、その人のページを名簿からそのまま抜いて破棄してしまう。半年前に辞めた子の記録を出してください、と言われて出せない。今いる人の分は完璧でも、辞めた人の分が3年たっていないのに消えていれば、それは保存義務を満たしていません。退職者は「消す」のではなく「退職年月日を入れて保存に回す」。この切り替えができているかどうかで差が出ます。

紛らわしいのが、辞めた本人から「私のデータは消しておいて」と言われる場面です。気持ちは分かりますが、店には保存義務がある期間があります。個人情報だから即削除、と単純に判断せず、保存が必要な期間は保管を続ける。退職者ごとに、いつまで保存し、いつ削除するのかを決めておくと、この手の依頼にも迷わず対応できます。

不備になりやすい箇所

実際に指摘されやすい箇所を並べておきます。

  • 体入の子を名簿に載せていない(その日から従事しているので対象になります)
  • 確認書類の添付漏れ、または免許証コピーだけで本籍地が確認できない
  • 退職年月日の記入漏れで、在籍か退職か判別できない
  • 在留期限・資格外活動許可の期限切れを見落としている

どれも一つひとつは小さな抜けですが、従業者名簿を備えない、必要事項を記載しない、または虚偽の記載をした場合は、100万円以下の罰金の対象になり得ます(2025年の風営法改正で、従来の50万円以下から引き上げられました)。さらに、違反の内容や是正状況によっては行政処分につながる可能性もあります。ここまでの項目管理・確認書類・在留期限の確認は、人力でも回せます。ただ、担当が代わるたびに引き継ぎが要り、点検の日を決めても忙しい週は飛ぶ。その積み重ねが不備につながります。私たちは、名簿を最新に保ち、在留期限を見落とさない運用のために、従業員名簿システムを作っています。すでに名簿があり、点検のやり方を整えたい場合は、従業者名簿を点検する手順もあわせて参考にしてください。

よくある質問

従業者名簿は紙とExcel、どちらで管理すればいいですか?

風営法は名簿の媒体を紙に限定していません。項目と確認書類がそろい、検査時にすぐ提示できる状態であれば、Excelやシステムでの電子管理でも問題ないとされることが多いです。実際の運用可否は管轄警察署にご確認ください。

1日だけの体入やヘルプも名簿に載せますか?

載せる必要があります。その日から営業所の業務に従事している実態があれば、雇用契約か業務委託か、単発かどうかにかかわらず名簿の対象になります。「1日だけだから」は除外の理由になりません。

外国籍スタッフの在留期限はいつ確認すればいいですか?

採用時だけでなく、期限が近づく前の再確認が必要です。法令上の一律の頻度は定められていませんが、在留期限のあるスタッフだけを別リストにして月初にまとめて確認するなど、余裕を持った運用が実務的です。

「従事する業務の内容」は何と書けばいいですか?

全員を「接客」でそろえるのではなく、実際の業務が分かる粒度で書きます。ホールでの接客、キッチン、送迎、店内清掃など、その人が何をしている人なのかを名簿で判別できる状態にしておくと、検査で聞かれたときにも説明しやすくなります。

名簿に決まった書式(様式)はありますか?

全国共通の指定様式が定められているわけではありません。氏名・生年月日・性別・住所・採用年月日・退職年月日・従事する業務の内容といった項目が漏れなく記載され、確認書類とあわせて営業所ですぐ提示できることが実質的な要件です。管轄によって求められ方が異なることがあるため、所轄警察署にご確認ください。

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※ 画像は過去の開発例で、実際に開発する画面とは異なります。

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画面は開発例です。項目・機能・デザインは、お店の運用に合わせて一から設計します。

使うとどう変わる?

不足書類と期限を一覧化し、立入時に必要な記録をすぐ確認できる状態にします。

  1. 1従業者と確認書類を登録
  2. 2不足・期限切れを自動で判定
  3. 3立入時に確認済み記録を提示
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