面接に来た子の日本語が完璧で、履歴書の住所も都内。だから在留カードを見せてもらわなかった。この一手が、あとから店の首を絞めます。

キャバクラなど接待を伴う営業では、客に接する業務に従事させる人について、生年月日と国籍を書類で確認する義務が風営法36条の2に定められています。対象は外国人だけではありません。日本人か外国人かを問わず、接客に立つ人は全員が確認の対象です。外国籍の人については、在留資格・在留期間の満了の日・資格外活動許可の有無とその内容まで確認します。そして同条2項で、確認したこと自体を記録として作成し、保存する義務が別にかかります。名簿の欄を埋めただけでは足りない、というのがここの肝です。

もう一つ、現場で誤解の多いところがあります。留学生の「アルバイトは週28時間以内まで」というルールです。この許可には、風営法の風俗営業などが営まれている営業所での活動を除く、という条件が付いています。時間さえ守れば大丈夫、は接待を伴う営業の店には当てはまりません。順に見ていきます。

国籍の確認は風営法の義務。日本語が上手でも省略できない

風営法36条の2第1項は、接待飲食等営業を営む風俗営業者、特定遊興飲食店営業者などに対して、その営業に関し客に接する業務に従事させようとする者について、生年月日と国籍を、内閣府令で定める書類により確認しなければならないと定めています。日本国籍を有しない人については、これに加えて在留資格と在留期間の満了の日、入管法19条2項の許可(資格外活動許可)の有無と、許可があるときはその内容までが確認事項です。特別永住者については、その資格を確認します。

条文が「従事させようとする者」と書いている点に注意してください。働かせたあとで確認するのではなく、客に接する業務に就かせる前に確認するという建て付けです。体験入店で1日だけ席に付いてもらう子も、客に接する以上は同じ扱いになります。「体入だから、本入店が決まってから」という順番だと、確認前に接客させたことになってしまいます。

そして、確認の対象は全員です。「うちは外国人を雇っていないから関係ない」という理解は違います。国籍の確認義務は日本人も含めた接客従業者全員にかかるものであり、日本語が流暢だから、日本の住所だから、見た目で判断がつくから、という理由で省略できるものではありません。むしろ、外見や話し方で「この子は日本人だろう」と判断して確認を飛ばした結果が、後から一番痛い形で出ます。

確認は「内閣府令で定める書類により」行います。本人の自己申告や口頭のやり取りでは要件を満たしません。生年月日と国籍については、本籍地の都道府県名(外国籍の場合は国籍)が記載された住民票の写しなど、公的な書類で確認します。名簿に何を書くかという話とセットになるので、記載項目そのものの整理は従業者名簿の記載項目と確認書類を参照してください。

在留カードは裏面まで見る。表面のコピーだけが典型的な抜け

外国籍の人を確認するときの中心は在留カードです。見るべき箇所は決まっています。まず表面。在留資格の種類、在留期間とその満了日、そして「就労制限の有無」の欄です。ここが「就労制限なし」であれば、活動の内容に制限のない在留資格ということになります。逆に「就労不可」と印字されているカードであれば、そのままでは働けません。

問題は裏面です。表面が「就労不可」でも、資格外活動の許可を受けていればその範囲で働けます。そして、その許可は在留カードの裏面にある資格外活動許可欄に記載されます。実務でいちばん多い抜けが、表面だけコピーしてファイルに綴じ、裏面を見ていないというものです。表面を見て「就労不可だから雇えない」と判断するのも、裏面を見ずに「許可があると聞いたから大丈夫」と進めるのも、どちらも確認したことになりません。風営法36条の2が求めているのは、許可の有無だけでなく「その内容」です。裏面に書かれた許可の中身まで読んで、写しは両面そろえて残します。

カードそのものが本物かという論点もあります。出入国在留管理庁は、在留カード等の番号が失効していないかを確認できる在留カード等番号失効情報照会を公開しており、ICチップを読み取って券面と照合するための在留カード等読取アプリケーションも配布しています。番号と有効期間を入力するだけで済むので、採用時の手順に組み込んでおくと、券面を眺めるだけの確認より一段強くなります。

留学生の「週28時間以内」は、接待を伴う店には当てはまらない

ここが、この記事でいちばん誤解の多いところです。留学の在留資格で在留している人は、資格外活動の許可を受ければアルバイトができます。その許可の内容は入管法施行規則で定められていて、一週について28時間以内(在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは1日について8時間以内)の収入を伴う活動、とされています。この「週28時間」だけが独り歩きしています。

同じ条文には、続けて除外が書かれています。風営法2条1項に規定する風俗営業、同条6項の店舗型性風俗特殊営業、同条11項の特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うものは、この許可の内容から除かれる、という条件です。接待を伴う飲食店営業は風営法2条1項の風俗営業にあたります。つまり、キャバクラやスナックの営業所で働くことは、週28時間の枠の中かどうか以前に、資格外活動許可の範囲の外にあるということです。

条文が「営業所において行うもの」と書いている点も見落とされがちです。除かれているのは接客業務だけではありません。その営業所で行う活動そのものが対象なので、席に付かず洗い場や裏方だけを頼む場合も、同じ営業所である限り扱いは変わりません。「ホールには出さないから」「キッチンだけだから」という切り分けで許可の範囲に収まる、という整理は成り立ちにくいということです。

留学だけでなく、家族滞在など、就労が本来認められていない在留資格も同じ構造です。資格外活動許可があるかどうかを見て、あった場合はその内容が自店での就労を含んでいるかまで読む。この二段階を踏まないと、「許可を持っていたから問題ないと思っていた」という状態になります。一方、就労制限のない在留資格で在留している人については、この制限はかかりません。カードの就労制限の有無欄と在留資格の種類を、まず最初に確認する理由がここにあります。

行政処分と不法就労助長。「知らなかった」は通りにくい

確認義務は、実際に取締りの対象になっています。警察庁の令和7年の統計では、従業者の確認義務違反等による行政処分が539件、接客従業者の国籍等の確認に関する検挙が26件あります。年に数件の珍しい話ではなく、立入のたびに見られている項目だということです。風営法36条の2は1項の確認義務だけでなく、2項の記録についても、作成しない、虚偽の記録を作成する、保存しない、という違反の類型が条文に並んでいます。確認だけして記録が残っていない状態も、そのままでは違反の側に落ちます。立入検査で何が見られるかは風営法の立入検査で確認される書類と当日の流れにまとめました。

もう一段重いのが入管法です。事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科と定められています(入管法73条の2)。この罰則は引き上げが予定されています。

この条文で店側が知っておくべきなのは、同条2項です。不法就労にあたることを知らなかったという理由では処罰を免れることができない、ただし過失のないときはこの限りでない、という構造になっています。裏を返せば、確認していなかった店ほど「過失がなかった」と説明しにくい立場になります。在留カードを見ていない、裏面を見ていない、期限を追っていない。どれも、知らなかったことの理由ではなく、確認を怠った事実の側に数えられます。

採用時に一度見て終わりにしない。在留期限の継続管理

実務でいちばん起きやすい事故は、採用時の確認漏れではありません。期限切れに気づかないまま勤務を続けさせることです。在留期間には満了日があり、更新されれば新しい期限に変わります。採用時に取った在留カードの写しは、その時点のスナップショットでしかない。ファイルに綴じた瞬間から古くなっていきます。

10人、20人と在籍していると、誰の期限がいつ来るかを頭で覚えておくのは無理があります。かといって全員分の名簿を毎月めくるのも続きません。現実的なのは、期限のある人だけを別の一覧にしておくことです。満了日の順に並べておき、残り60日と残り30日で声をかける。この2回の区切りを決めておくだけで、「気づいたら過ぎていた」がかなり減ります。

更新の申請中で結果がまだ出ていない、という場面も出てきます。この期間の扱いは在留資格や申請の状況によって変わるため、記事の一般論で断定できるものではありません。本人から申請の状況を聞き取り、そのやり取りも記録に残したうえで、判断に迷う場合は出入国在留管理局や行政書士など専門家へご確認ください。ここで大事なのは、結論を自己流で出さないことと、いつ誰に何を確認したかを残しておくことです。

確認記録の残し方。名簿の欄を埋めるだけでは足りない

風営法36条の2第2項の記録について、施行規則は具体的な方法を定めています。確認をした従業者ごとに、確認した事項と確認をした年月日(従業者名簿への記載事項とされているものを除く)を名簿に記載し、かつ確認に用いた書類の写しを名簿に添付して保存する方法。もしくは、同じ内容を電磁的な名簿に記録し、書類の写しやスキャナで読み取った画像を、その従業者の記録と照合できるようにして保存する方法です。紙でも電子でも構いませんが、どちらの方法でも「確認した年月日」と「確認に用いた書類の写し」がセットで要る、というところは変わりません。

保存期間も定められています。記録は、その従業者が退職した日から起算して3年を経過する日まで保存します。辞めた子の分を退職と同時に処分してしまうと、この保存義務を満たせません。在籍者のファイルと退職者のファイルを分けるのは構いませんが、捨てるのは3年後です。

立入のときに問われるのは、確認したかどうかではなく、確認したことを示せるかどうかです。「入店時にちゃんと見ました」と口頭で説明しても、確認した年月日も書類の写しも残っていなければ、義務を果たしたと示す材料がありません。法令が求めているのは確認事項と確認年月日ですが、実務では確認した担当者名まで残しておくと、担当が代わったあとに「これは誰がやった確認か」で止まらずに済みます。採用前の確認から在留カードの両面確認、記録の保存、期限の再確認までを順番に並べた手順は接客従業者の年齢・国籍・在留資格を確認する手順にまとめています。

この運用を紙のファイルで回すと、確認書類の写し、名簿の記載、期限の一覧という3つを人の手で同期させ続けることになります。誰かが更新後の在留カードを受け取っても、名簿と期限一覧に反映されなければ、記録としては古いままです。私たちは、そのずれが起きにくい形を作るために従業員名簿システムを開発しています。従業者ごとに確認年月日と書類の写しを持たせ、在留期限のある人だけを別に一覧化し、退職者の記録も保存期間のあいだ残したまま在籍者と分けて扱う。いまの紙運用のどこが重いかを聞くところからで構いません。

よくある質問

キャバクラで外国人を雇うこと自体は違法ですか?

違法ではありません。就労に制限のない在留資格であれば、日本人と同じように働いてもらえます。ただし接客に立たせる場合は、風営法36条の2により生年月日・国籍・在留資格・在留期間の満了の日・資格外活動許可の有無とその内容を書類で確認し、確認した記録を作成・保存する義務があります。

在留カードはどこを確認すればいいですか?

表面の在留資格、在留期間(満了日)、就労制限の有無の欄と、裏面の資格外活動許可欄です。表面だけをコピーして裏面を見ていない、というのが実務で最も多い抜けです。写しは両面そろえて保存してください。出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会で、番号が失効していないかもあわせて確認できます。

留学生をキャバクラで働かせるのは違法ですか?

留学の在留資格で受けられる資格外活動許可は、一週について28時間以内などの範囲で認められますが、風営法2条1項の風俗営業などが営まれている営業所において行うものは、その許可の内容から除かれています。接待を伴う飲食店営業はこの風俗営業にあたるため、時間の範囲内であっても許可の範囲外の就労になります。

日本語が流暢で日本育ちなら、国籍の確認は省略できますか?

省略できません。風営法36条の2の確認義務は、客に接する業務に従事させる人全員が対象で、日本人か外国人かを問いません。外見や日本語の流暢さで判断して確認を飛ばすと、確認義務そのものを果たしていない状態になります。

確認記録は何年保存すればいいですか?

施行規則により、その従業者が退職した日から起算して3年を経過する日まで保存することとされています。在籍者の分だけでなく、辞めた人の記録も保存期間のあいだ残しておく必要があります。

在留期限が切れていることに気づかず働かせていた場合はどうなりますか?

入管法は、不法就労にあたることを知らなかったという理由では処罰を免れることができないとしており、過失のないときを除くという構造になっています。確認や期限管理をしていなかった場合ほど、知らなかったという説明が通りにくくなります。気づいた時点で就労を止め、出入国在留管理局や弁護士・行政書士など専門家へご相談ください。

この記事の課題を、システムで解決するなら

「いつ、何で確認しましたか」に、記録で答える

お店専用の従業員名簿システムなら、従業者ごとの確認年月日と在留カードの写しをまとめて残し、在留期限が近い人だけを先に一覧へ上げられます。立入で確認記録を求められても、書類を探し回らずにその場で示せます。相談は無料で、導入前提でなくても大丈夫です。

画面も項目も、お店の運用に合わせて一から設計します。何をシステムにするか決まっていない段階のご相談も無料で承ります。

※ 画像は過去の開発例で、実際に開発する画面とは異なります。

実際に開発した画面の一例

画面は開発例です。項目・機能・デザインは、お店の運用に合わせて一から設計します。

使うとどう変わる?

不足書類と期限を一覧化し、立入時に必要な記録をすぐ確認できる状態にします。

  1. 1従業者と確認書類を登録
  2. 2不足・期限切れを自動で判定
  3. 3立入時に確認済み記録を提示
今の運用を無料で相談する この業務の開発内容を見る