「うちは風俗営業の許可を取っていない。深夜酒類提供飲食店営業の届出だけで回している店だから、従業者名簿は関係ない」。ガールズバーやコンカフェの現場でよく聞く整理ですが、これは誤解です。

従業者名簿の備付け義務を定めた風営法36条は、風俗営業の許可店だけにかかる条文ではありません。深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業する店にも適用されます。つまり、許可を取っていないガールズバー・コンカフェにも、従業者名簿を備え付ける義務があります。「許可がないから対象外」は、立入時にいちばん通らない言い分のひとつです。

そのうえで、この業態にはもう一つ固有の難しさがあります。週1〜2日の勤務、体験入店、学業や昼職との掛け持ち。在籍の入れ替わりが激しいのに、名簿は常に最新でなければならない。義務の範囲を確認したうえで、回転の速い店で名簿をどう保つかまで見ていきましょう。

届出営業でも名簿は義務

誤解の出どころははっきりしています。従業者名簿は「風営法の話」であり、風営法は「許可を取る店の法律」だ、という二段の思い込みです。ガールズバーやコンカフェの多くは、接待をしない形で営業し、深夜0時以降も酒を出すために深夜酒類提供飲食店営業の届出を出しています。許可申請の書類を作った経験がないぶん、名簿も「許可店がやること」の側に分類されてしまう。

実際には、従業者名簿の備付け義務は深夜酒類提供飲食店営業を営む店にも及びます。許可か届出かは、名簿が要るかどうかの分かれ目にはなっていません。届出書を出した時点で、その店は名簿を備える側に入っています。開店準備で内装や酒の仕入れに追われている時期に、名簿だけが「あとで整えるもの」として後回しになりやすいのですが、営業を始めた日から従業者はいるわけで、名簿もその日から必要です。

そしてこの義務は、備え付けていないだけで違反になります。誰かに迷惑をかけたか、未成年を働かせたか、といった実害とは切り離して問われる形です。従業者名簿を備えない、必要事項を記載しない、または虚偽の記載をした場合は、100万円以下の罰金の対象になり得ます(2025年の風営法改正で、従来の50万円以下から引き上げられました)。さらに、違反の内容や是正状況によっては行政処分につながる可能性もあります。

名簿に何をどこまで書くのか、確認書類は何が要るのかという記載項目の細部は従業者名簿の記載項目と確認書類にまとめています。この記事では、届出営業の店が見落としやすい範囲の話と、人がよく入れ替わる店での運用に絞って進めます。

対象は全従業者。派遣・委託も入る

次につまずくのが、対象になる人の範囲です。「深夜酒類提供飲食店営業の名簿なのだから、深夜帯に入っている子の分だけあればいい」。これも違います。警察庁の解釈運用基準では、深夜に業務に従事する従業者だけでなく、全ての従業者が対象とされています。夕方から22時までで上がる学生キャストも、開店前の仕込みだけ来るキッチンも、名簿に載ります。

もう一段見落とされやすいのが、自店で雇っていない人です。第三者から派遣されるコンパニオン等、委託で業務に携わる者も記載の対象とされています。イベントの日だけ入ってもらったコンパニオン、他店から応援で来たキャスト、送りを頼んでいる外部のドライバー。給料を自店から払っていないから名簿には関係ない、という整理をしている店は少なくありませんが、その営業所で業務に携わっている以上、対象から外れると考えるのは危うい。

一方で、二重に台帳を作らなくてよい場面もあります。労働基準法上の労働者名簿で必要事項が揃う場合は、風営法の従業者名簿を別途作成する必要はないとされています。ただし、労働者名簿はあくまで「労働者」の名簿です。業務委託扱いのキャストや、外部から来るコンパニオンは労働者名簿には載っていないことが多い。「労基法の名簿があるから大丈夫」と考えている店ほど、実際には委託の人たちが台帳のどこにも載っていない、という状態になりがちです。両方を突き合わせて、片方にしかいない人がいないかを一度確認してみてください。

名簿とは別に要る確認記録

名簿の欄が埋まっていれば安心、とはなりません。接客に立つ従業者については、生年月日と国籍を確認する義務が法36条の2で定められており、この「確認した事実」は名簿とは別に記録として残す必要があります。名簿は書き写した結果、確認記録はその裏付け。役割が違うので、片方だけでは足りません。

確認に使う書類にも注意点があります。本籍地の都道府県名が記載された住民票の写し等が必要とされており、運転免許証のコピーでは券面に本籍が載っていないため、それだけでは要件を満たさないことがあります。ガールズバーやコンカフェは若いスタッフが多く、入店時に出してもらえる書類が学生証や免許証に偏りがちです。「身分証は預かってコピーした」で確認済みのつもりになっていると、いざ聞かれたときに、何で何を確認したのかを説明できません。

実務としては、確認に使った書類の種類、確認した年月日、確認した担当者を、その人のページとセットで残しておく形が扱いやすいです。外国籍のスタッフなら在留カードで在留資格・在留期限・資格外活動許可の有無まで見て、その内容も同じ場所に記録します。年齢の確認は、18歳未満をどの時間帯の業務に就かせられるかという別の規制にも直結します。この点はコンカフェで18歳未満は何時まで働けるかで整理しています。

立入があったときに見られるのは、名簿の書式の美しさではなく、この裏付けが揃っているかどうかです。当日の流れと確認されうる書類の範囲は風営法の立入検査で確認される書類と当日の流れにまとめてあります。

処分890件・検挙40件という実態

名簿の不備は、注意されて終わる軽微な話だと受け取られがちです。数字を見ると、そうでもありません。警察庁の令和7年の統計では、従業員名簿の備付義務違反での行政処分が890件、従業者の確認義務違反等が539件ありました。名簿と確認記録は、立入時の定番チェック項目です。

行政処分だけではありません。従業者名簿の備付義務違反での検挙、つまり刑事事件として立件されたものが40件あり、前年の31件から増えています。件数そのものは大きくないとしても、名簿が理由で刑事手続に進む店が現に毎年あり、しかも減っていないという事実は押さえておく価値があります。

もうひとつ、この業態の温度感が分かる事案があります。2026年5月、警視庁が都内のガールズバー・コンカフェ4店舗を無許可営業の疑いで一斉に摘発しました。報じられたところでは、4店の女性従業員65人のうち15人が学生でした。無許可営業そのものは名簿とは別の論点ですが、この数字が示しているのは、学生・掛け持ち・短期の在籍が業態として当たり前だという実態です。1店あたり十数人が在籍し、その中に学生が混じり、入れ替わりも速い。名簿がいちばん古くなりやすい条件が揃っています。

そして名簿は、店側にとって不利な証拠になるだけのものではありません。誰がいつから在籍し、年齢と身分をどう確認したかの記録が残っていれば、疑いをかけられたときに事実で答えられます。記録がない店は、疑われた内容をそのまま否定する材料を持ちません。

入れ替わりの激しい店の名簿運用

ここからが本題です。義務の中身より、回転の速い店で名簿を最新に保つほうがずっと難しい。週1〜2日の子、テスト期間だけ休む学生、1日で来なくなった体入。この母集団を、常に正確な一覧として維持し続けなければなりません。

崩れ方には型があります。まず、体入の子が名簿に載らない。「今日1日様子を見るだけだから」と、書類も取らずにフロアへ出してしまう。その日から業務に従事している以上、対象です。次に、辞めた人の扱い。連絡が取れなくなったキャストのページを名簿から抜いて捨ててしまう店がありますが、退職者の分にも保存が必要な期間があります。消すのではなく、退職年月日を入れて保存に回す。三つめが、確認書類の回収漏れです。「住民票は次の出勤で持ってきます」と口約束のまま2ヶ月が過ぎ、誰も覚えていない。

対処の考え方はシンプルで、判断を現場から取り上げることです。書類が揃う前に店に立たせないと決めてしまえば、回収漏れの大半は消えます。体入の受け入れ手順の中に登録を組み込み、名簿に載ってから初日が始まる形にする。回収期限を「次の出勤まで」と人に紐づけるのではなく、日付で管理して、期限が来た人だけが目に入るようにする。誰が判断するかを減らし、抜けが目に見えるようにする。この二つで、たいていの不備は起きなくなります。

週1勤務の子が10人いる店は、常勤5人の店より名簿の維持が重くなります。人数が多く、来る頻度が低く、辞めるときに連絡もない。だからこそ、記憶と紙のバインダーで持ちこたえようとすると、真っ先に崩れるのがこの業態です。

不足と期限を見える状態にする

名簿を最新に保つ作業を分解すると、やっていることは3つです。今いる人が全員載っているかを確かめる。一人ずつ、必要な書類が揃っているかを確かめる。期限のあるもの(在留期限、回収待ちの書類)が切れていないかを確かめる。どれも難しくはありませんが、在籍が20人を超えて出入りが月に何度もある店では、この3点検を毎回手で回すのが現実的でなくなります。

紙のバインダーやExcelでも運用はできます。ただ、不足している人を見つけるには全員分を上から順に見ていくしかなく、点検の日を決めても忙しい週は飛ぶ。担当が代わればやり方ごと引き継ぎ直しになる。その積み重ねが、立入の日に「あの子の住民票が見つからない」という形で表に出ます。

私たちは、この3点検を毎回の目視から外すために従業員名簿システムを作っています。在籍者と確認書類を登録しておくと、書類が足りない人と期限が近い人だけが画面に上がってくる。全員を見に行かなくても、手を打つべき相手が分かる状態です。届出営業のガールズバー・コンカフェでも、必要な記録の中身は許可店と変わりません。いまの名簿がどこまで揃っているか分からない、という段階からのご相談でも構いません。

よくある質問

ガールズバーに従業者名簿は必要ですか?

必要です。従業者名簿の備付け義務を定めた風営法36条は、風俗営業の許可店だけでなく、深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業する店にも適用されます。許可を取っていないことは、名簿が不要になる理由にはなりません。

コンカフェは接待をしていなくても従業者名簿が要りますか?

深夜酒類提供飲食店営業の届出を出して営業しているのであれば、名簿の備付け義務がかかります。接待の有無は営業の種別に関わる論点であり、名簿が要るかどうかの分かれ目ではありません。自店の営業形態の判断に迷う場合は所轄警察署や行政書士へご確認ください。

深夜帯に入らないスタッフも名簿に載せますか?

載せます。警察庁の解釈運用基準では、深夜に業務に従事する従業者だけでなく、全ての従業者が対象とされています。22時までで上がる学生キャストや、開店前だけ来るキッチンも含まれます。

外部から来るコンパニオンヘルプも名簿の対象ですか?

対象になります。第三者から派遣されるコンパニオン等、委託で業務に携わる者も記載の対象とされています。自店で給与を払っているかどうかではなく、その営業所で業務に携わっているかで考えるのが安全です。

労働者名簿があれば従業者名簿は別に作らなくていいですか?

労働基準法上の労働者名簿で必要事項が揃う場合は、別途作成する必要はないとされています。ただし労働者名簿には業務委託扱いのキャストや外部のコンパニオンが載っていないことが多いため、両方を突き合わせて対象者が漏れていないか確認してください。

週1勤務や体験入店の子も名簿に載せる必要がありますか?

あります。その日から営業所の業務に従事している実態があれば、勤務日数や雇用形態にかかわらず対象です。体入の受け入れ手順の中に名簿登録と書類の回収を組み込み、書類が揃う前に店に立たせない運用にしておくと、載せ漏れが起きにくくなります。

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許可でも届出でも、名簿に求められるものは同じ

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※ 画像は過去の開発例で、実際に開発する画面とは異なります。

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画面は開発例です。項目・機能・デザインは、お店の運用に合わせて一から設計します。

使うとどう変わる?

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  1. 1従業者と確認書類を登録
  2. 2不足・期限切れを自動で判定
  3. 3立入時に確認済み記録を提示
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