顧客・売掛管理

カスハラ対応フローと出禁基準のつくり方

カスハラ対応で求められるのは、事が起きてから判断することではなく、あらかじめ決めてあることです。方針、報告経路、対応の段階、記録の形を先に決め、担当者が替わっても同じ判断ができる状態にします。

何をされたら店が対応するかを文章にする

抽象的に「迷惑行為」と書くより、自店で実際に起きた型を具体的に並べたほうが機能します。暴言、身体への接触、つきまとい、勤務時間外の執拗な連絡、過剰な要求など、線を引く対象を書き出します。

あわせて、店はキャストとスタッフを守る側に立つという立場を明記します。これが書いてあるかどうかで、現場が声を上げられるかが変わります。相談したことを理由に指名やシフトで不利に扱わないことも、口頭ではなく方針の文章に入れます。

  • 対応対象となる行為を具体的に列挙する
  • 店が従業者を守る立場であることを明記する
  • 相談を理由とする不利益な取扱いを禁止すると書く
  • 作った方針を全員へ周知する

報告経路と当日の対応手順を決める

誰に報告し、誰が対応し、どこで警察へ通報するかの三点を決めます。キャストは黒服か店長へ上げる、呼ばれた側は可能な限り本人を一人で対応させない、という手順が決まっているかどうかが分かれ目になります。

通報の基準も、その場の空気で判断するのではなく、どこを超えたら警察を呼ぶのかを先に決めます。複数店舗を運営している場合は、本部へ共有する経路も決めておきます。ここは紙一枚で足ります。大事なのは、事が起きた夜に誰も迷わないことです。

  • 報告先(黒服・店長・本部)を決める
  • 一人で対応させないための呼び出し方法を決める
  • 警察へ通報する基準を先に決める
  • 相談窓口の担当者を確保する

注意・席の制限・出禁の段階と決定者を決める

「大事な客だから我慢」と「出禁」の二択にすると、店は出禁の重さを避けて我慢へ倒れ、結局なにも起きません。あいだに中間の段階を用意します。席の付け方を制限する、特定のキャストを付けない、会計方法を限定する、来店可能な曜日や時間を絞る、といった段階です。

段階があると、「まだ出禁ではないが、次に同じことがあれば出禁」という中間の判断を下せます。判断が下せれば記録も残ります。注意を伝えた記録があれば、二度目で線を引く根拠にもなります。

誰がその判断をするかも決めます。報告はキャスト、判断は店長または本部、と分けておくだけで、現場が客の扱いを背負わずに済み、相談のハードルが下がります。

  • 段階を3つ以上用意する
  • 各段階の適用条件を書く
  • 判断する役割を決める
  • 段階を上げ下げした日付と理由を残す

事案記録と要注意客フラグを台帳に残す

事案の記録に残すのは、いつ起きたか、誰が受けたか、何をされたか、店がどう対応したかの4点です。どれかが欠けると、後から読んでも判断できない記録になります。

事案の記録が時系列のログだとすれば、要注意客のフラグは客ごとの現在地です。過去に何があり、いまどの対応段階にあり、誰を付けない取り決めになっているかを、来店予定や担当と同じ場所に置きます。別ファイルに分けると見に行かれません。

一方で、記録の中身は閲覧範囲を決めます。全員に見せるのは「この客にはこの対応をする」という運用上の指示までにし、被害の詳細や相談者名は店長・管理者のみとする、といった分け方です。個人のスマホのメモに残す運用は、退店時に持ち出される点でも、閲覧範囲を制御できない点でも向きません。

  • いつ・誰が・何を・どう対応したかの4点を残す
  • 客ごとに現在の対応段階を持たせる
  • 誰を付けないかの取り決めを共有する
  • 被害の詳細と相談者名は閲覧範囲を限定する

確認チェックリスト

  • 対応対象となる行為を文章にしている
  • 報告経路と対応担当が決まっている
  • 一人で対応させない手順がある
  • 警察へ通報する基準を決めている
  • 注意から出禁までの段階と決定者を決めている
  • 事案の記録に4点がそろっている
  • 要注意客の対応段階を台帳で共有している
  • 相談者名と被害の詳細の閲覧範囲を限定している

参考資料

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